2018年4月30日月曜日

「入門さえできない人のための作曲講座 実践編 【前編】【後編】」を投稿しました

「入門さえできない人のための作曲講座 実践編 【前編】【後編】」が完成したので、ニコニコ動画に投稿しました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm33133824

http://www.nicovideo.jp/watch/sm33133929



「PBMの会」より事務連絡

 動画のほうでも宣言しているようにすでに講座本編は完結していますが、「初心者未満の皆さんが知っておいたほうがよいことを全部紹介できたか」という点では実は幾つか積み残しがあります。
 そこで今年中を目処に以下の3編を単発で製作します(注:予定です)。それでこの『入門さえできない人のための作曲講座』シリーズは完全に終了です。あとちょっとですが、引き続きご視聴をお願い致します。

①実践編(前編・後編)
 作曲技術に特化した本編とは違う切り口、具体的には「自分が思った通りの曲を作ろうとした場合にどう進めればよいか」という手順と、いわゆるテンプレ(定番表現)を利用した曲作りの方法について紹介します。

②再編集編[仮題]
 本編で様々な例と余談を交えて紹介した作曲方法を、「8小節の曲(歌ではない)の製作」という一点に絞って要点のみ取り纏め、作成手順を一部変更して紹介するものです。

③その他編[仮題。教養編その5にするかも知れません]

 本編や教養編の作成段階で、再生時間や構成の都合で泣く泣く省いた没記事を集めたもの。アウフタクトとシンコペーションについての世間とはひと味違う形での解説、ボカロPまでの階段と必要事項の例示等々です。

「PBMの会」より御礼

 ブログでの告知がすっかり遅れましたが、先日『入門さえできない人のための作曲講座』本編が完結しました。
 2014年9月21日に第一章前編を投稿してから足かけ三年弱、当初は一年半程度で終了させる予定が延びに延びて、それでも何とか最後まで完走できたのはじりじり増えていく再生数と応援コメント、わざわざつけていただいた宣伝のおかげです。応援して下さった視聴者の皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。

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 ブログの他の記事でも書きましたが、この企画の趣旨は「音楽の授業で楽譜の読み方を習った程度のど素人」と「ニコ動にアップされた各種の『初心者向作曲講座』を理解できるレベルの作曲初心者」の間にある、実は相当に深くて広い隙間を埋めることでした。あえて偉そうに書きますが、ニコ動の作曲講座の少なくとも7割は「これを見たところで、ど素人が作曲するのは無理だな」と思える、明らかに高度に過ぎる内容のものだったからです。
 理由は簡単です。作曲講座を作るような人はたいてい子供の頃に学校教育以外にけっこうな音楽経験(ピアノとかバンドとか)を積んでいるからです。だから人に教える場合はよほど意識しないと「作曲に興味を持った頃の自分」と同じレベルの相手、つまり曲作りに関する基礎的な感覚を持っている人向の内容になってしまうのです。
 この「曲作りの基礎的な感覚がある」というのは、例えれば「補助なしで自転車に乗れる、感覚でバランスが取れる」ようなものだと思ってください。作曲の場合はこれが「いちいち理論を考えないでも頭の中にメロディが自然に浮かぶ」「でも理論がわかるとより良い作曲の助けになる」という状態にあたります。つまり「できる人」が「できない人」に曲作りのコツを説明しても、それはそもそも自転車のバランスが取れず足をついてしまう人に「正しいブレーキングはこう」「長時間乗って疲れない態勢はこんな感じ」と言うようなもので、はっきり言って時間の無駄でしかありません。少なくともそれを作曲の実作業に結びつけるのは困難です。
 ……というのも、実は「PBMの会」ではその「できる人」「できない人」の間の不毛な議論を延々と行ったことがあり、双方がお互いの基礎能力の違いを具体的に認識するまでに軽く10時間を超える対話がありました。逆に言うと、その過程を経て「ど素人に欠けているのは何なのか、何を最初に身につけるべきなのか」が見えてきたわけです。

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 そんなわけで、本講座ではとにかく「そこそこのレベルのメロディを作れるようになること」、この一点のみを目標としてそれ以外の要素の大半を切り捨てました。曲の基本三要素「旋律と和声と拍子」、つまりメロディとコード&ハーモニー、リズムのうち、後者二つはアリモノ、定番表現を利用することもできますが、曲の顔であるメロディだけはどうにもならないからです。
 だから重視するのは、正確さよりもわかりやすさ。
 やっていい範囲を示すのではなく、絶対押さえるべき点のみを指示し強制する。
 それにある意味本講座の最大の特徴とも言える「自力よりもパクり」、借りて済ませられるものは借りて済ませるという方針に従って、とにかくメロディ作りという「作業」に慣れてもらう。そうして一つの方法論が身体に染み込んで、やがてコード進行を見たらそこそこ聞ける曲が作れる領域にまで達すれば、その時ようやく他の講座の言っていることが理解できるように……つまり「音楽経験者にとっての作曲初心者」になれるだろうと考えています。
 その先、さらに進んでボカロPないし作曲者としてニコ動に投稿できるレベルにまで達するかどうかは正直わかりませんが、たとえそうでなくても曲作りという創作活動はそれ自体が楽しいものです。また、「作る側」の眼で世間に流れる曲を聞いたり楽譜を眺めたりするのは、ただ自分にとって気持ちが良いかどうかだけを基準に曲を鑑賞するのとは別の良さがあり、視野を広げる発見があります。この講座が、皆様がそんな世界に触れるための一助になれば幸いです。

2018年4月 PBMの会 一同

2017年9月1日金曜日

「入門さえできない人のための作曲講座 第四章 【後篇】」を投稿しました

「入門さえできない人のための作曲講座 第四章 【後篇】」が完成したので、ニコニコ動画に投稿しました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm31850339


2017年8月27日日曜日

「蟹缶の弱音ハクなボヤ記」九言目:ボカロ関連曲の舞台化のネタを考えてみた

ボカロ楽曲の舞台化は今や珍しいことでは無くなりました。
トラボルタPの「ココロ」を皮切りに「悪の娘」「サンドリオン」「クワガタにチョップしたらタイムスリップした」そして「千本桜」等々。

私はボカロ関連の舞台にはできるだけ観劇に行っています。
舞台の場合、映画やTVとは違って編集による効果が無いので役者さんの演技の質や舞台演出の良し悪しが皮膚感覚として直接感じることになります。
この皮膚感覚が舞台鑑賞の醍醐味ではないかと私は思っています。
そこで、今回は数多くあるボカロ楽曲でさらに舞台化したら面白いかもと思ったものを挙げていきたいと思います。

・ODDS & ENDS (supercell)
 言わずと知れた名曲ですね。
 ボカロ楽曲をテーマにした舞台としては王道の内容になるでしょう。
 上演は大劇場ではなく、小劇場の方が似合うような気がします。なんとなくですが。

・エイリアンエイリアン (ナユタン星人)
 ニコ動での再生がダブルミリオンを超えたヒット曲。
 これはボカロがテーマというよりは、コメディ演劇のモチーフとして使えるのではと思います。
 こじらせた恋愛感情をもった女学生を主人公にして、そのこじらせた感を笑いに転化するようなコメディタッチの舞台が見てみたいですね。

・Cipher サイファ (佐藤純一/FLEET)
 2011年の曲なので知らない人の方が多いかもしれませんが、私は未だに朽ちない名曲だと思っています。
 初音ミクを現代の音楽界を変える存在ではないかという着想から生まれた曲だと聞いています。
 哲学的な舞台になりそうですが、能力の壁にぶつかった作曲家が出会ったある少女の物語。
 脚本家の力量が試されそうな作品になりそうですね。

・夢見ることり (はややP)
・magnet (流星P)
 どちらも今やボカロの古典とも呼べる曲ですね。
 これは超会議2017の超歌舞伎で上演予定の原曲「吉原ライメント」から遊女の話としてチョイス。
 ミクとリンは遊女として廓に囲われている。二人は思いを寄せ合う仲であるが、ミクには過去、ルカと深い関係になっていた。ルカは今は亡き人であるが、その影はミクの心の奥深くに刻まれているのであった。
 こんな三角関係の物語はどうでしょう。

・千年の独奏歌 (yanagiP)
 KAITOオリジナル楽曲の指折りの名曲。小説化もされているようです。
 KAITO版の「ココロ」みたいな感じの物語になりそうですね。
 これは、宝塚でもやれるのではないかと思っています。

・Hand in Hand (Kz)
 ミクダヨーさんが主演の着ぐるみショーなんてどうかなと思うんですよ。
 「おかあさんといっしょ」みたない幼児向けのショーで、「みんな仲良くしようね」みたいな。

探せば色々と出てきますが、ぱっと思いついたモノを挙げてみました。
誰かが実現してくれるとうれしいのですが、やっぱり自分で舞台化してみたいなという気持ちはあるんですよね。

2017年8月13日日曜日

「Forgerの備忘録」 第8回 発話の発達から推測する作曲技能の発達についての試論

 以前にも述べたように、音楽の構造は言語の構造とほぼ並行的であると言える。また、音楽の起源が歌である可能性が高いことから、言語の発話技能と音楽の作曲技能も人間の脳機能としてはかなりの程度で類似していると推測される。

 従って、幼児の発話の発達は、音楽素人の作曲技能の発達と類似した段階を経るのではないかと私は考えている。

そして、幼児の発話が一足飛びに発達しないのと同様に、音楽素人の作曲も段階を経て成長すると考えるのが妥当であろう。

 そこで、まずは、幼児の言語の発達段階を概観してみよう。
○レベル1:1歳~1歳半位
1語文が言えるようになる。
例:「ワンワン」⇒「犬がいる」「犬がいて怖い」「犬がいてうれしい」という意味にも使われる。

○レベル2:1歳半~2歳位
2語文が言えるようになる。
例:「アッチイク」「オテテキレイ」「オカシチョウダイ」

○レベル3:2歳位
3語文が言えるようになる。
例:「ボク、デンシャヲ、ミタヨ」

○レベル4:3歳位
文と文をつないだ複文が言えるようになる。
例:「ノドガカワイタカラ、ミズヲノム」

○レベル5:4歳位
話し言葉としては、一応の完成。

○レベル6:5
語彙が増え、目的に応じた発話ができるようになる。
 この発達段階を参考に、音楽素人の作曲の発達段階を仮説的に構築してみよう。
○レベル1=1語文=モチーフ
コードとリズムパターンから、「2小節の音の連なり」=モチーフが作れるようになる。

○レベル2=2語文=フレーズ
コード進行に従い、モチーフとモチーフを組み合わせた「4小節の音の連なり」=フレーズが作れるようになる。

○レベル3=3語文=メロディー
コード進行に従い、フレーズを組み合わせた「8小節以上の音の連なり」=メロディーが作れるようになる。

○レベル4=複文=曲
コード進行に従い、メロディーを組み合わせて曲が作れるようになる。
※我々の作曲講座の想定する目標。

○レベル5=最低限の話し言葉
コード進行に従い、メロディーと伴奏を含めてきちんと曲が作れるようになる。
※ニコニコ動画における多くの作曲講座の想定する目標。

○レベル6=普通の話し言葉
ジャンル等の曲調も含めて、きちんとした曲が作れるようになる。
※一般人が「作曲」と聞いて連想するレベルの目標。
 我々が作曲講座を作成するに当たり、そもそもの動機は、各種のサイトや講座動画における要求レベルが音楽素人の技能レベルよりも高すぎるためミスマッチが起こっており、そのミスマッチを埋めるような動画を作成しようというものであった。

 しかし、我々の動画に対するユーザーのアクセス履歴を解析したところ、我々の動画でもまだ要求レベルが高すぎる懸念が浮かび上がってきている。言い換えるなら、歌う=音の物真似と作曲=発話の類似性から、漠然と音楽素人の作曲技能のレベルを我々も実態よりも高く見積もり過ぎていたのではないかということである。

 実際、我々の作成した動画に基づき、私も作曲の練習をしているのだが、中々上手くいっていない。どうやら音楽素人がいきなりレベル4に挑戦するのは、よほど才能や環境に恵まれていない限り、要求が高いと判断せざるを得ない惨状である。

 では、この惨状を受けて目標を下方修正するとしたら、どこまでレベルを下げるのが妥当なのであろうか。教育学の知見を参考にするならば、自分のレベルより少し高いレベルを課題設定するのが、技能向上の効率やモチベーション維持の観点からも有効であるが、その自分のレベルを正しく測定する方法すらまともにないのが現状である。

 このように、発話の発達段階を参考に、作曲の発達段階を仮説設定することで、多くの音楽素人と我々の作曲講座との間にも要求レベルのミスマッチが起こっている可能性が確認できた。また、作曲技能のレベル測定も含めて、各レベルに応じた課題設定の方法等についても、更なる検討が必要ということも分かってきた。

 引き続き、作曲の練習を継続することで、上記の課題群について模索を続けることを述べて、本試論を終えることとする。

2017年6月9日金曜日

「入門さえできない人のための作曲講座 教養編 其の4」を投稿しました。

 「入門さえできない人のための作曲講座 教養編 其の4」が完成したので、ニコニコ動画に投稿しました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm31367168